今はもう手放してしまったユーノスロードスター。
思い出すのは、いつも雨の日。
運転席から上に手を伸ばすとすぐに幌に当たってしまう。頭上の空間は5センチあるだろうか。とても狭い。
だがそのために、外界の雰囲気を常に感じることが出来る。
雨の日に幌にふれれば、雨が幌に当たる感触が伝わってくる。普通の車にはない感覚。自分が雨に打たれているようだ。雨が、すぐそばに感じられる。
冬の日に幌にふれれば、外の寒さが伝わってくる。現代の車とは思えないほど、外界の温度を敏感に反映する車内。
季節が、身近に感じられる。
残念ながら、私の今の生活は車無しでは成立しない。もちろん、無しでも生きていくことは出来るが、多くの人に会って教えを広め、自分もいろいろな考えに感化されることを望める生活は難しくなる。
そうした生活の中で、車という文明の利器に乗りながらも、季節を感じられるロードスターは私の大切な相棒であった。その相棒と別れて、半年が経つ。
新しい相棒は、人も荷物もたくさん載せられて、たくましく走ってくれる。雨が降っても雪が降っても大丈夫そうな、頑丈な体を持っている。
乗っている人の命を、今までよりも遙かにしっかりと守ってくれる。
それはそれで大切なことだ。
だけどやはり、寂しい。
強い雨の日は、不安に駆られる。はたして雨漏りは大丈夫だろうか。
幌を激しく打ちつける雨が、すぐ頭上にある。
その場面にはもう出会えないが、そのとき感じた感性は、これからも大切にしたいと思う。
