自殺

 IT不況がやってきました。関連各社は続々とリストラ案を公表しています。再びリストラブームがやってきたようです。

 リストラが増えると心配されるのが、自殺者の増加。退職を迫られたり、左遷されたり。悩み苦しんだ末に、自ら命を絶つ道を選ぶ。そうした人が増えることが予想されます。

 時々お檀家さんにお話しするのですが、仏教の戒律に「不殺生戒」というものがあります。読んで字のごとく、生きているものを殺すことを戒めるものです。(絶対的な禁止ではなく、例えば、動物を食用に殺す行為については、「必要最低限にしよう」と戒めています)

 人間だけでなく、動物や植物、そのほかあらゆるものに対してこの戒律が適用されるのですが、それは自分以外の存在に対してだけでなく、自分に対しても適用されます。つまり、自殺に対する戒めです。

 自分が自殺すれば必ず誰かが悲しみます。「そんな人はいない」と思う人もいるかもしれません。でも、必ず悲しむ人がいるのです。

 誰かを悲しませることは、してはなりません。だから、自殺をしてはいけません。

 自分が自殺をすれば、必ず誰かが苦しみます。「なぜ私は、あの人の苦しみに気づいてあげられなかったのだろう」その人は、生涯その苦しみを背負い続けるでしょう。

 誰かを苦しませることは、してはなりません。だから、自殺をしてはいけません。

 あなたの周りに、何か悩みを抱えている人はいませんか?面と向かって聞いてみる必要はありません。でも、誰かが苦しんでいないか、いつも気にしていてあげてください。ちょっとした優しさで、救われる人がこの世には大勢いるのです。

 あなたがもし会社の人事担当でしたら、遠回しに退職に追い込むようなことを決してしないでください。それが原因で自殺をする人が必ずいるのですから。

 また、上司からそのように命令されたら、断固拒否してください。

 その結果、あなた自身が退職に追い込まれることになるかもしれません。その時は、そんな会社とはさっさとおさらばしてしまいましょう。もし可能なら、ほかの社員にも真実を告げて、みんなで辞めてしまいましょう。

 不景気のどん底の日本で、いかなる理由があるにせよ、自ら職を失うことは、相当な覚悟が必要です。でも、会社が生き残るために誰かを犠牲にする、そんなことを許容できるとしたら、あなたも十分、会社と同罪です。

 もちろん、会社側が正規の手続きに乗っ取って解雇をし、契約通りの保証をするのであれば話は別ですが。「解雇」という形を嫌って「自主退職」という形に無理に追い込む行為は許されません。

 最後に。

 自殺をしてはいけません。でも、自殺した人を責める必要はありません。問題となるのは「自分自身」なのですから。

制作・著作 宗教法人正太寺