ダブルブッキング

 ふとした油断からダブルブッキングしてしまいました。ダブルブッキングとは、同じ日同じ時間に、二つの予定を入れてしまうことです。ダブルブッキングが起こってしまった場合にどちらの予定を優先すべきかという問題は、大変難しいものです(問題の時間になって初めてダブルブッキングに気づいた場合は、もっと深刻ですが)。

 こういった事態を防ぐために、電子手帳を常時携帯し、常に予定を確認して行動しているのですが・・・

 ボランティアで参加しているあるイベントのスタッフミーティング中に、予定の確認をせずに、イベント当日の午後の部の担当者となりました。

 ところがそのイベント当日の午後というのは、ちょうど我が寺院の行持(いわゆるイベント)と重なっているのです。前述のイベントのスタッフを引き受けた時点で、この時間帯はお寺の行持があるということは認識しており、この時間にはイベントから抜け出します、と断っていたのですが、実際に担当を決める時点ですっかり忘れてました。

 さあ、こうした場合、どちらを優先するべきか。言うまでもなく、お寺の行持は私の本業。無条件で優先する義務があります。(僧侶という立場を職業として捉えるた場合。本来であれば、本業、副業などと言う区別はないのですが、主旨からはずれるので追求しません)

 しかし、イベントのスタッフとしての責任も相当なものがあります。今回の場合、担当者には、与えられた時間帯の企画・運営に関して、ほぼすべての権限が与えられています。権利と責任が比例するのは当然のこと。担当者は複数人いるとはいえ、一度引き受けた以上、当日の運営に関わらないわけにはいきません。あきらかに他人に迷惑をかけるわけですし。

 また、ボランティアというのは、個人個人の自発的意志によって行われることであり、そういった考え方が基本であり、すべてであると私は捉えています。ボランティアのイベントスタッフというのも、会社のように雇用契約というものは存在せず、自発的意志によって人が集まり、対等の立場で共同作業をしていきます。ボランティアとボランティアをつないでいるものとは、信頼関係以外の何者でもありません。

 そういった状況では、信頼を損なうというのは致命的です。こうして考えるてみると、イベントスタッフとしての仕事も、優先したいと考えるに十分な理由があります。

 ではどうするか。いろいろ考えた末、キャンセルした場合、誰に迷惑をかけるかということに考察の焦点を絞ることにしました。

お寺の行持をキャンセルした場合
私の役割は主に、その場にいて住職と共に読経すること。行持の進行は住職によって行われる。
つまり、私がいなくても行持の進行自体に影響はない。
誰に迷惑をかけるかと言えば、住職以外に思い当たらない。
ただし、事前の準備等には、人手が足りない、という影響を与える。
これは、住職以外にも適用される。
が、このことは事前に了解済みである。
イベント当日、自分の担当時間帯に抜け出した場合
現段階では、私の役割はそれほど重要ではなく、代理も容易である。
しかし、これはほかのボランティアスタッフの負担を増加させることに他ならない。     
 まとめてみましょう。1の場合、迷惑をかけるのは住職です。私の場合、住職は父です。つまり、血縁関係にあります。では2の場合はどうでしょう。迷惑をかけるのは、他のボランティアスタッフ。もちろん血縁関係はありません。あるのは信頼関係のみ。

 以上のような考察の結果、私はイベントスタッフしての責務を優先することにしました。お寺の行持については、平謝りです。私のことを孫のように思ってくださっているお檀家のおばあちゃんたちには申し訳ないのですが・・・(わたしの衣姿を喜んでくださるんです。ありがたいことです。)

 さて、私の場合は血縁関係は崩壊しにくいという特徴を信じて、崩れやすい信頼関係というものの保持・向上を図ることにしました。みなさんならどうしますか?私の出した結論は、いざというときの言い訳にもなる、なかなかいいものだと思うのですが。いかがでしょうか。

 ・・・夜、目が冴えて寝付けなかったとき、妙に思考が活発になりまして、そのときに考えていたことを眠り薬代わりにと書いてみました。こういう遊びもなかなか、おもしろい。

制作・著作 宗教法人正太寺